公募増資とは
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企業が株式市場から新たに資金を集めるとき、「増資(ぞうし)」という方法で、資金を調達する。
増資とは資本を増強することで、新しい株券を発行して、それと引き替えにお金を受け取る。
増資をした分だけ資本金が増え、財務体質が強化されたり、新しい事業へ乗り出せたりする。
ただし増資をしたからといって、急に利益が増えるわけではないので、一株あたり利益が減る。
たとえば100万株で120億円の利益なら、一株当たりの利益は1万2,000円だ。
ここで新しく20万株を発行したら、120万株で120億円になるので、一株当たり利益は1万円になって、2,000円減ることになる。
こういう風に、増資によって一株当たりの売り上げや利益が減ることを、「株式の希薄化」などと呼ぶ。
増資はたいていの場合、発行済み株数の2割前後になるので、17%くらいの希薄化が起こる。
そこで増資が発表されると、株価は1~2割くらい下がることが多い。
ただしこれは既存株主にとって、あまり良い話ではない。
持ってる株が、増資によって、勝手に価値が下がっちゃうわけだから。
そこで増資を行う際には、様々な形で、希薄化対策がとられる。
その一つが「公募増資」で、既存株主には、新しい株を買う権利(ライツ・オファリング)が優先的に与えられる。
ライツオファリングを実行すると、株券の希薄化が防げると言うが、果たして本当か?
ライツオファリングで希薄化は防げるか?
増資による資金調達には、第三者割当増資と、公募増資という方法がある。
第三者割当増資というのは、提携先企業や投資ファンドなどに、新株を全部引き受けてもらう方法だ。
新興企業やバイオベンチャーなどは、業務内容や赤字企業が多くて、信用力があまりない。
そこで業界に詳しい企業やファンドを通して、増資して資金を調達するのだ。
投資ファンドは、その引き受けた株を、市場で売って投資資金を回収する。
そのため、株価の上昇を抑えたりする。
一方、公募増資というのは、新規上場(IPO)の時のように、広く一般に新しい株主を募集して、それで資金を集める方法だ。
このとき、既存株主に対して、新株を優先的に購入する権利「ライツ・オファリング」が与えられることもある。
新株の公募価格は現在株価より、1~2割低く設定されて売り出されるので、ライツオファリングに応じて、新株を購入すると、希薄化分を埋めることができる。
また、ライツオファリングの権利を、株式市場で売ることもできるので、株価が下がった分の埋め合わせが多少なりともできる。
ただしこれは、増資によって株価が下がることに対する埋め合わせで、一株当たり資本や一株当たり利益の希薄化はやっぱり避けられない。
財務体質の弱い新興企業や、バイオベンチャーの場合は、増資で株価が上がることも多いが、増資はやっぱり株価を下げる。