電気自動車が普及しなかった理由とは
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電気自動車の普及がジワジワと拡がっている。
電気自動車は、ガソリンエンジンではなくモーターで走るため、有害な排気ガスを殆ど出さず、環境にも良い。
なので遊園地や娯楽施設の乗り物は、たいてい電動のカートだ。
ところが電気自動車が環境に良いと分かっていても、なかなか普及しなかった。
都市部の一部の路線バスなどで、電気自動車が使われたりしていたが、なかなか広まらなかった。
というのもガソリンエンジン自動車と比べて、様々な点で劣っていたからだ。
簡単にまとめると次のようなことだ。
電気自動車の問題点
- 電気自動車は、馬力が出ない。
- 電気自動車は、航続距離が短い。
- 電気自動車は、充電に時間がかかる。
これらの問題は、ほとんどが車に搭載する電池の問題だ。
昔の電気自動車というのは、重い蓄電池をたくさん積んで走らせていたため、動き出すのもゆっくりだし、スピードを出すために出力を上げると、すぐに電池の電力を使い切ってしまったのだ。
言ってみれば「スピードを出すと、すぐにガス欠になる車」みたいなモノで、だから平らな遊園地や娯楽施設でノロノロと走っていたわけだ。
また、電池というのは気温によって出力が大きく変わる。
特に低温になると、電気抵抗が高くなるため、出力が落ちる。
一般的な鉛蓄電池の場合、マイナス18℃では、出力が40%くらいしか出ない。
ガソリンエンジンも、低温になるとエンジンがかかりにくくなる。
これは、エンジンオイルや冷却水が冷えて働きが鈍くなるのと、エンジン内のスパークプラグに電力を送るバッテリーが働かなくなるからだ。
そのため、寒冷地仕様の自動車では、冷間始動(れいかんしどう)と言って、あらかじめエンジンや蓄電池の周囲に電熱線を配置して、冷えすぎないようにしている。
その他にも、蓄電池の場合、液漏れや漏電による事故もあって、荒っぽい用途には使えなかった。
リチウム電池 全個体電池
電気自動車は、ガソリンエンジン自動車より、エネルギー効率が良い。
ガソリンエンジンは、ガソリンを燃焼爆発させてピストンを動かすため、熱が発生してエネルギーロスがデカい。
エネルギーコストも、電気の方がガソリンよりもはるかに安い。
ところが自動車に搭載する二次電池(充電できる電池のこと)の鉛蓄電池が非常に重く電力密度が低かったため、電気自動車はなかなか普及しなかった。
ところが「リチウムイオン電池(LiB)」が開発され、量産されるようになったため、電気自動車の普及が始まった。
リチウムイオン電池というのは、1980年代から先進国で開発が始まり、90年代にはソニーなどが造ったリチウム電池が携帯電話やノートパソコン用に使われた。
さらに90年代後半にはリチウムイオンポリマー電池という、非常に軽量でコンパクトな二次電池が開発され、スマートフォンやドローンなどに使われている。
そして2009年頃から、電気自動車やハイブリッド車用にリチウム電池が大量に使われるようになり、ようやく電気自動車の普及が始まったのだ。
さらにリチウムイオンポリマーよりさらに安全性と容量を高めた「全固体電池(全固体リチウム電池)」の開発も進んでいる。
イオンポリマー電池は、従来の液体だった溶液をゲル状にしたモノだが、全固体電池はさらにそれを固体化したものだ。
こういう風に、小さなスマートフォン用の電池から、ドデカい自動車用の電池へと用途が広がったため、二次電池のメーカーや素材メーカーは、注目をあびているわけだ。
全固体電池 関連銘柄
- 旭化成(3407)
- 出光興産(5019)
- オハラ(5218)
- 日立(6501)
- ソニー(6758)
- 太陽誘電(6979)
- 村田製作所(6981)
- 日立造船(7004)