カラ売り師のロジック?
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株式投資の掲示板などを見ていると、カラ売り専門のトレーダー達の不思議なロジックというのが垣間見える。
彼らの主張は簡単に言うと、売り玉が含み損になっても、いつかはまた株価が元に戻るから、それまでしっかり握っておれば良い。
あるいは株価が急騰したとしても、買い玉でヘッジして両建てしておけば、逆日歩がいくら付こうが関係ない。
自分が払った逆日歩を、自分で受け取るわけだし。
で、株価のピークで買い玉を利確して外せば、あとは株価が元の水準まで下がるまで、のんびりとそれを待っておれば良い。
そういうロジックで株価がいくら急騰しようと、売り玉の損切り(買い埋め)をしないわけだ。
ただしこの方法で、常に利益が出るかと言えば、いろんな条件が揃ったときだけだろう。
と言うのもまず、株価が元の低水準まで下がるという保証がない。
というのも、新しい材料によって、企業自体のビジネス内容が、ガラッと変わってしまうこともあるからだ。
たとえば、2016年に急騰したさくらインターネットという企業は、元々ホスティングサービスの会社で、サーバーをレンタルする会社だった。
企業や個人向けにレンタルサーバーを貸し出し、それで稼ぐという企業だったわけだ。
ところがフィンテックという、仮想通貨・暗号通貨やネットバンキング方面にビジネスを拡げたことで、株価が急騰した。
今までは、レンタルサーバー会社の一つだったのに、フィンテック・ビジネスをやる企業に生まれ変わったのだ。
こういうふうに、企業イメージがガラッと変わると株価水準は何割か切り上がって定着する。
そのため、カラ売りした時点の株価をいつまでたっても下回らなくなる。
こういう場合、逆日歩を山ほど払って握り続けた売り玉も、結局損切りになってしまうわけだ。
さくらインターネットの週足チャート(2015)
逆日歩がつくと、その分、株価が上がった計算になる
カラ売り師の信念は、いつかは必ず株価が下がる、だ。
だから毎日高額の逆日歩を払っても、じっと待ち続ければ、必ずプラスになる。
そう信じて、とんでもなく急騰した銘柄の、売り玉をガッチリ握りしめている。
ところがホントに株価が売値より下がるのかというと、それは材料の内容次第だ。
たとえば300円弱で売買されていた株が、材料が出て急騰して1,000円を越えたあと、また300円まで戻るかというと、戻らない。
材料が有望で、これから伸びそうな分野であれば、ピークを過ぎて急落し始めても、急騰前と比べて何割か高い水準で株価が落ち着く事も多いのだ。
たとえば300円から急騰したとしても、500円くらいで落ち着くわけだ。
2016年にフィンテックを材料に急騰した、さくらインターネットの場合は、300円くらいから急騰して2000円を越えたが半年後も800円以上で売買されている。
こうなると、売り玉は含み損のままになる。
さらに既に支払った逆日歩があるので、プラスで買い埋めできないだろう。
というのも損益計算では、逆日歩分だけ株価が上がっている計算になるので、カラ売りした時点の株価より、さらに逆日歩分以上下がらないと、含み損は消えないのだ。
逆日歩倍率10倍適用になって、逆日歩の合計が100円だったとしたら、カラ売りしたときの株価より100円以上に下がらないとダメなわけだ。