日本円の本当の価値を知るには?
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株式関係の番組を見ていると、ドル円の為替レートや、ユーロ円の為替レートの他にも、「実効為替レート」というのが、たまに出てきたりする。
実効為替レートというのは、相対的な通貨の強さを表す指標だ。
というのもドル円の為替レートは、USドルと日本円の交換レートだから、この二つの通貨の強弱しか分からない。
同じくユーロ円の為替レートでは、ユーロと日本円の交換レートだから、この二つの通貨の強弱しか分からない。
世界では、USドルとユーロも交換されてるし、UKポンドも、人民元も、韓国ウォンも、その他の通貨ペアも盛んに交換されている。
なので日本円の価値が上がっているかどうかは、ドル円の為替レートだけでは分からない。
そこで主要通貨の交換レートと、二国間の貿易量でウエイト付けして、国際決済銀行(BIS)が算出したのが、実効為替レートというデータだ。
実効為替レートには、インフレなどを考慮しない名目実効為替レートと、インフレを考慮した実質実効為替レートがあるが、議論になるのは実質実効為替レートになる。
実質実効為替レートの推移を見ると…
一国の通貨の価値を調べるには、実効為替レートの推移を見れば良い。
実効為替レートというのは、二国間の通貨の交換レートに、二国間の貿易量を重み付けして計算した指数だ。
たとえばドル円の為替レート ×、日米の貿易量、ユーロ円の為替レート × 日欧の貿易量、ポンド円の為替レート × 日英の貿易量、と言う風に計算したモノを合算・平均するイメージだ。
実効為替レートには、名目実効為替レートと実質実効為替レートという二つの数値があるが、インフレなどを考慮した、実質実効為替レートが大きな意味を持つ。
というのも自国通貨の価値が上がっているのか、それとも下がっているのかは、インフレを勘定に入れないと、分からないからだ。
では日本円の価値は、果たして上がっているのだろうか、それとも下がっているのだろうか。
次のグラフから考えてみる。
実質実効為替レートの推移(USドル、日本円、ユーロ、人民元)
※データは国際決済銀行(BIS)のホームページよりダウンロードして作成。
上のグラフは、2010年=100とした指数だが、1979年=100とか、1991年=100としても良さそうだ。
このグラフから見ると、現在の日本円の価値は、22%程度下がっているが、過去の円安と比べると、そろそろ円安の限界に来ているようだ。
日銀黒田総裁が、1ドル125円くらいになったとき、実質実効為替レートの話をしていたが、つまり円安になっても、ここで止まるという算段だったのだろう。
またこのグラフで、円安から円高に動くときは、非常に急勾配で上昇しているから、円高に振れるとあっと言う間に、為替レートが動くと言うことも示している。
要するに、2016年と2017年で、一気に円高になりそうってことだな。