マウントゴックス事件とは
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ビットコインなどの仮想通貨・暗号通貨に付きまとうのが、安全性だ。
ビットコインは、ブロックチェーン技術という、新しい技術で支えられており、複数の分散型データベースに取引データが保存されているため、理論的な安全性は非常に高い。
ところがその安全性をぶちこわしにするような事件が、2014年2月に起こった。
それが東京にあるビットコイン交換所・マウントゴックス(Mt.Gox)の破綻だ。
マウントゴックスは、元々トレーディングカードの交換所としてスタートし、その後ビットコインの交換事業に乗り出し、一時は世界のビットコインの7割のシェアを誇ったりもしていた。
ところがマウントゴックスのフランス人経営者が、自分の口座残高を水増しする不正をしていたらしく、それで(交換所内での)収支が合わなくなった。
それを「ビットコインが盗まれた」とか、「ビットコインが消えた」と説明したため、取り付け騒ぎが起こってしまった。
マウントゴックスを利用していたユーザーから払い戻し請求を受け、それに対応できなくなってマウントゴックスは破綻してしまった。
マウントゴックスの破綻は、一般のニュースでも報道されたため、ビットコインの安全性が大いに疑われた。
というのもビットコインは、マイナー(採掘者)と呼ばれるメンバーによって支えられているだけで、管理者を置かないという仕組みで動いているため、何かトラブルが起こった場合に、責任を取る者がいないのだ。
ビットコイン財団というのはあるが、これはビットコインを広めるための組織であって、システムの開発も、ビットコイン取引にも関与していない。
そんな中で、日本にあるビットコイン交換所のマウントゴックスが、突如取引を中止し、サイトも閉鎖したため、マウントゴックス経由でビットコインを利用していたユーザーに被害が及んだ。
またビットコインの価値も大きく下落した。
ブロックチェーンの凄いところ
マウントゴックス交換所の破綻によって、ビットコインの安全性が大きく揺らいだ。
ところがこれは交換所の経営破綻であって、ブロックチェーン技術の欠陥ではない。
そのため2年後の2016年には、再びまたブロックチェーンブームが起こった。
キッカケは、東証一部のさくらインターネットが、テックビューロー社の技術で、ブロックチェーンの実証実験を始めるという報道からだった。
さらにそれを一般の企業や金融機関に貸し出すという話が伝わり、200円前後だった株価が、一ヶ月後には1,000円を越えるところまで上昇した。
つまりマウントゴックス事件によって、ビットコインの信頼性は揺らいだが、それを支えるブロックチェーン技術については、関心が高まったと言うことらしい。
このブロックチェーンというのは、取引記録(トランザクション)が塊となってブロックとなり、そのブロックがチェーンのように、どんどん連なっていくことから名付けられている。
実はここに、ブロックチェーン技術の安全性の秘密がある。
というのもビットコインを使うには、ビットコインの所有者が持つ「署名」が必要で、取引記録と署名がセットになって、さらにそれがどんどん連なっていくという仕組みになっている。
となると、データ改ざんをするのが、非常に難しくなる。
というのも改ざんしたいデータの前後には、全く別の他人の取引データと署名があって、それによって挟み込まれているためだ。
このように、現金通貨をビットコインなどと交換する「交換所」では、様々な事件が起こっているのだが、ブロックチェーン技術自体は、非常に高い信頼性がある。
だからこそ、マウントゴックス事件で信頼を失ったビットコインも、再びまた大きく成長しようとしているわけだ。