円安になると、なぜ株価が騰がるのか。
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円高・株安、円安・株高などと言う。
では、円安になるとなぜ株価が騰がるのか。
これは単に現在のトレンドが、そうなっているからだ、としか言えない。
というのも過去には、円高株高の時代も長かったからだ。
これは1985年に、プラザ合意でドルが切り下げられ、急激なドル安円高トレンドが起こった。
このときマスコミなどでは円高不況が、毎日の様に報道されていたから、円高になると不況になって、株価が下がる様な印象になったらしい。
しかし実は、80年代の中盤の頃は、円高が進んでいるのにもかかわらず、株価は右肩上がりで上がっていた。
円高不況をやわらげるために、公定歩合が引き下げられ、市中に貨幣があふれかえったからだ。
そしてそれが88年からの超好景気の、「バブル景気」につながっていくわけだ。
詳しくは次のグラフでみると良い。
ドル円為替レートと、日経平均株価の推移 月足チャート
※クリックすると、大きなグラフを見ることができます。
このグラフを見ると、円安=株高というような、単純な相関関係があるわけではないことがわかるだろう。
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90年代後半から00年代前半は、円安にもかかわらず株価が下がっているし、民主党政権に変わった当初も、円高=株高というふうに推移しているし。
円安=株高というのは、単なるトレンド
円安になると株価が上がる、というのは、単なるトレンドに過ぎない。
円安で株価が上がる説明としては、日本は輸出立国であったから、円安になると外国で安くモノが売れて、価格競争力が増して儲かるからだ、…と言う風に説明される。
しかし現在は、円安になっても、輸出はさほど増えない。
というのも貿易摩擦を避けるため、日本の輸出企業の多くは、米国やヨーロッパなどに工場を作り、そこで商品を作っているからだ。
また労働単価の安い中国やベトナム、インドネシアなどに工場を作って、そこから世界中に輸出するようにするからだ。
ドルやユーロで原材料や労働力を購入し、ドルやユーロで製品を売る様にすれば、ドル円の為替レートに影響されずにビジネスを行うことができるので、そういう風になった。
なので円安になって輸出株が騰がるのは、「円換算にすると利益が増えるから」だという。
海外でモノを作って売って儲けても、決算は日本円で行うわけだから、円換算にしたとき、円安だとかさが増える。
それが「業績アップ」と言う形で発表されるから、それを見込んで株が買われると言うことらしい。
そういうことが分かっているので、海外の機関投資家やヘッジファンドなどが、為替レートのアップダウンに応じて、細かく輸出企業の株の売買して利益を取っている。
日本の株式市場の売買の6割以上が、海外投資家による売買だと言うから、彼らの戦略が、今の円安=株高トレンドを作っているのに過ぎない。
つまり、
- 海外投資家の売買が活発だと、円安株高になりやすい
- 海外投資家の売買が下火だと、円安株高にはならない
ということだね。