売り禁になると、逆日歩は倍率2倍適用になる
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株価が急騰するとき、貸借銘柄で発生するのが、逆日歩(ぎゃくひぶ)というやつだ。
逆日歩というのは、貸株不足が発生したとき、日証金(日本証券金融)が、株の借り手に大して要求する、プレミアム料金だ。
「株が足りなくなったので、借り続けたい人は、特別料金を払え」と言って課せられるのが逆日歩だ。
この逆日歩は、貸借倍率(融資÷貸株)が、1.00を大きく下回ると付く。
逆日歩がいくらになるかは、現在株価と、貸株不足の深刻度で変わる。
500円以下の100株単位株なら、1単元あたり5円から100円で、1株あたりだと0.05円から最高料率1円になる。
ただし、貸株不足が拡がると、「貸株注意喚起」というのが、日証金から発表される。
また、用意されている貸株以上の申し込みがあると、「新規売り停止」が発表され、「売り禁」になる。
こうなると、自動的に倍率2倍適用になり、最高料率1円×2=2円の逆日歩が課せられる。
品貸し料(逆日歩)の倍率適用目安一覧
売り禁になると、基本的にその日に持ち越した売り玉の逆日歩は、最高料率×2倍になるワケだね。
もちろん、そのあとの日については、どうなるか分からないが。
制度信用の売り玉を持っていれば、一日一株あたり、この逆日歩を支払う。
一方、制度信用の買い玉の持ち主は、この逆日歩を受け取ることができる。
そこで逆日歩を嫌った売り玉の買い返済や、逆日歩目当ての買いが増えて、株不足が解消されるわけだ。
逆日歩 倍率10倍適用の実際
逆日歩がどのように付くのかは、ケースバイケースで、なかなか予想が付きにくい。
私も売り禁になった銘柄を十回以上売買した経験があるけれど、高額の逆日歩を期待してたら、急に下がったというケースも多い。
貸借倍率が0.1くらいでも、貸株に余裕があれば、0.05円くらいだし、逆に貸株に余裕がなければ、最高料率の逆日歩が発生する。
たとえば2016年7月中旬にリリースされた、ポケモンGOというスマホゲームの関連株として、突然人気銘柄化したサノヤス(7022)の場合を見てみよう。
サノヤスの本業は造船業なのだが、造船業は斜陽産業なのかして、経営自体は黒字なのだが人気が無く、PBRも1を大きく下回った「超割安株」だった。
しかしアメリカでポケモンGOが大ヒットし、社会現象化したせいで、サノヤスもポケモン関連だと人気化して、急騰してストップ高をつけた。
レジャー施設の建設や経営も行っていて、愛・地球博や大阪の万博跡に、ポケモン関連の施設を作っていたからだ。
ところが以前からサノヤスのことを知っているカラ売り専門のトレーダー達は、この急騰をチャンスだと捉えたらしい。
そこでストップ高翌日に、大量のカラ売りを浴びせた結果、急激に貸借倍率が下がって、貸株不足が発生し、逆日歩が付いた。
サノヤス(7022)の逆日歩の推移
※7月12日(初日)にストップ高。
7月13日(2日目)も大幅高で、貸株注意喚起。
7月14日(3日目)の昼休みに、新規売り停止(売り禁)。
大引け後に「倍率10倍適用の予告」が発表された。