イギリスのEU離脱は、金融危機を引き起こさない?
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イギリスの国民投票で、EU離脱派が勝利。
この離脱国民投票を公約したイギリス保守党のキャメロン首相は、離脱派の勝利決定後に、首相職を辞任することを表明した。
これによってイギリスは、新しいリーダーの元、EU離脱に向けた協議を公にスタートすることが決まった。
EU離脱がイギリスに何をもたらすのかは、実際に離脱してみなければ分からない。
最大のリスクは、イギリス離脱が、金融危機につながるケースだ。
ギリシャ・ショックの場合は、ギリシャ国債が返済不能になり、ギリシャ国債を大量に保有していたフランスやドイツの銀行の破綻が懸念された。
イギリスのEU離脱によって、どこかの大手金融機関が破綻するようなことが起これば、この影響は計り知れないだろう。
逆に対外債務が少なければ、EU離脱による金融危機は起こらないだろう。
ポンドの価値が下がり、ユーロの価値が揺らぐことはあるにしても、急激な破綻がなければ、どおって事は無い。
しかし産業的には、確実に起こることがある。
それはイギリスに進出している製造業が、工場をドイツなどに移転させる事だ。
というのも、イギリスがEUを離脱すると、EU諸国への輸出に関税がかかる。
自動車や機械などのメーカーは、イギリスで作ってヨーロッパ諸国に供給すると関税分だけ競争が不利になるのだ。
それではビジネスにならないから、特に強い理由が無い限り、EU諸国に顧客を持つメーカーなどの製造業はイギリスを去るだろう。
EU離脱で、イギリスへの投資は大幅に減る
イギリスのEU離脱方針は、各方面に多大な影響を及ぼすだろう。
ただそれがどんな形で現れるかは、そう簡単にはわからない。
ただ、EU域内に製品を供給するために、イギリスを製造拠点にしていた企業は、工場をドイツやオランダなど、他のEU加盟国に移すことになる。
イギリス拠点だとEU離脱によって関税や非関税障壁が発生するから不利になるからだ。
そうして外国の製造業がイギリスから去れば、イギリスの工場労働者の雇用が減ることになり、労働者の収入も減るかもしれない。
もちろんEU離脱によって、約200万人の外国人労働者も、仕事を求めて他の国に行くだろうから、逆にイギリス国民の雇用が改善していく可能性だってあるのだが。
また、イギリスへの投資も確実に減る。
EUへの入り口としての投資はなくなるし、不確定な要素が多いと、おちおち投資もできなくなるため、外国企業は今後数年にわたり、イギリスへの投資をためらうはずだ。
イギリスの通貨「ポンド」の、為替レートが大きく値下がりしたのは、外国資本が投資を引き上げるため、ポンド売りが進むのを先取りしたって事だろう。
投資が減れば、当然ながら、経済は停滞してしまうため、イギリス経済の先行きも、怪しい。
GDPというのは、