為替レートはなぜ動く?
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日経平均に大きな影響を及ぼす、ドル円の為替レート。
このドル円の為替レートは、いったいどういうときに動くのか。
通貨の交換レートの計算には、購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity )で比べる方法があるので、これを大まかな目安と考えることができる。
ただ購買力平価にもいろいろあって、
- 消費者物価PPP…消費者の購入品で計算した購買力平価
- 企業物価PPP…企業の購入品(国内)で計算した購買力平価
- 輸出物価PPP…輸出時点の商品で計算した購買力平価
購買力平価と実際の為替レートの推移グラフ
このグラフを見ると実際の為替レートは、企業物価PPPを挟んで、輸出物価PPPと消費者物価PPPに挟まれる形で動いていることがわかる。
つまり長期的には、企業物価PPPが、実勢為替レートの振動中心で、現時点では1ドル=99円台になる。
ただこれでは、為替がどちら方向に動くのか、それを考える参考にはならない。
振動中心は1ドル=99円台だとしても、そこから上下になぜ2割も動くのか。
これには日米の金利差が関係している。
つまり金利が高い国の通貨が買われるのだ。
日米実質金利差が、ドル円レートの方向を決める
為替レートは、企業物価で計算した購買力平価(PPP)が一番近い。
2016年現在の企業物価PPPは、1ドル=99円台なので、この当たりが妥当なレートだろう。
ところが実際の為替レートというのは、外国為替市場の取引で決まるため、一定のトレンドが発生する。
では、為替トレンドはなぜ発生するのか。
為替売買で利ざやを狙うFXの世界では、二国間の実質金利の差によって、方向が決まると考えられているらしい。
つまり実質金利が高い国の通貨が買われ、実質金利が低い国の通貨が売られるのだ。
ドル円の為替レートであれば、大きなトレンドとして、日米で実質金利が高い方が買われやすい。
そこで日米の実質金利を、比べてみたのが次のグラフだ。
日米の実質金利の推移(2008-2016)
このグラフだと、上にある方の通貨が変われ、下にある方の通貨が売られるわけだな。
2015年末で、日米の実質金利差が逆転し、日本の方が高金利になっている。
この原因は、アメリカのインフレ率が1%あるのに対し、日本のインフレ率が殆ど0だからという事らしい。
一方、日米の実質金利差とドル円の為替レートは、どれくらい相関関係あるのか。
日米実質金利差と、ドル円レートの推移(2008-2016)
このグラフを見ると、確かに相関性は強そうだね。
実際に相関係数を計算してみたら、なんとR=0.697という強い数値が出た。
統計学では、0.4以上あれば相関関係があると判定されるが、0.697ともなると計算間違えクラスだ。
このグラフを見ると、日米の金利差が縮まっていくスピードに、為替レートが遅れて付いてきている。
つまりイギリスのEU離脱ショックがなくても、1ドル=100円を割るのは、時間の問題だったって事だな。