日銀が日本株を買っている?
更新日:
日経平均株価が大きく下がると、「日銀のETF買い入れ」という言葉が飛び交う。
日銀がETFを買ってくれて、日経平均株価が下げ止まると期待される。
ETF(Exchange Traded Fund)とは、上場投資信託、略して上場投信と呼ばれるモノで、簡単に言うと「株のパッケージ」のことだ。
ETFを買うと、自動的にそのETFを構成している銘柄が買われるので、個別株が買い支えられる。
たとえば日経平均225連動型のETFだと、日経平均株価の構成銘柄の225銘柄が買われる。
TOPIX連動型のETFであれば、東証一部の全銘柄がまんべんなく買われる。
これはTOPIXが「東証一部の全銘柄の時価総額の合計指数」だからで、TOPIX連動型のETFを買えば、広く東証一部に上場している銘柄が買われることになる。
日銀は、日経平均が1%前後下落したときに、ETF買い入れを行って、株価の急落を防いでいる。
日銀のETF買い入れは、民主党・菅直人政権の2010年の12月から始められ、以来ずっと株価の大幅下落の予防線となっている。
おもな日本株ETF
- TOPIX連動型上場投資信託(1306)
- 上場インデックスファンドTOPIX(1308)
- 日経225連動型上場投資信託(1321)
日銀のETF買い入れは、タブーだった
日経平均が1%前後下がると、日銀によるETF買いが期待される。
最近はもう、当たり前のように「日銀のETF買い」に期待されているけれど、実は2010年以前の株式市場では、そんな事など全く無かった。
というのも日銀が株を買い支えるなんて、タブーだったからだ。
株式市場というのは、あくまでも民間の企業活動・経済活動の舞台であって、政府が介入すべきモノではない。
ところが2008年夏のリーマン・ショックによって世界中の景気が後退し、なかなか景気が底入れ回復しないため、民主党の菅直人政権時に、当時の白川日銀総裁がETF買い入れに踏み切った。
リーマンショック以降、株価が低迷して「逆資産効果」が続いていたため、株を買い支えることによって、景気のさらなる悪化を防ごうということらしい。
当時は1回の買い入れで、140億円~250億円くらいの株が買われた。
規模としては、年間、1兆円を上限とする、ETFの買い入れが行われた。
これによって、日本株の下落が止まり、底入れ反転することが期待された。
しかし翌年の3月11日に、あの東日本大震災が日本を襲い、猛烈な円高によって、日銀のETF買い入れの効果は限定的になった。