アベノミクス相場で株価は上がったが、個人は株を売った
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2012年12月に総選挙が行われ、民主党政権に変わり、安倍自民党政権がスタートした。
いわゆる「アベノミクス相場」の始まりだ。
ただ実は、自民党の総裁選が行われて、安倍総裁が選出される以前の夏場から、すでに欧米の景気は底入れしており、ドル円も切り返しの動きを見せ始めていた。
リーマンショックという金融危機が和らぎ、景気回復にも目処がつき始めていたのだ。
そのため、グレートローテーションで、株式市場から債券市場に流れていた海外の投資資金が、日本市場に還流し始めた。
そうして2012年末から約一年間の間に、なんと15兆円もの資金が東証一部に流入した。
日経平均株価も、10,395円から16,291円まで上昇した。
15兆円の流入で、6,000円くらい上がったわけだから、5兆円で2,000円くらいという見当だね。
2009年起点の累計では、海外から24兆円もの資金が流れ込んだ計算になる。
ところが投資部門別売買累計グラフを見ると、ちょっと不思議なことがある。
グラフを見ると、アベノミクス相場スタートから「個人」が株を売り越しっぱなしなのだ。
投資部門別売買累計グラフ(2009-2017)
※クリックすると大きな図で見ることができます。
※データは投資部門別売買状況(JPX)などより作成。
このグラフを見ると、海外から資金が流入している分だけ、個人は株を売っている。
株を買っている人が居れば、当然、同じ金額だけ株を売っている人が居るわけだが、近年の東証一部は、株価が上がれば上がるほど、個人投資家が株を手放しているのだ。
アベノミクスが始まる前は、4兆円くらいの売り越しで推移していたが、その後、20兆円以上の売り越しになっている。
じゃあ一体、誰が日本株を買っているのかというと、海外の投資家と、日銀だ。
日銀のETF買いが、今の日本株を、買い支えている。