購買力平価から見たドル円の為替レート

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ドル円の為替レートは、一体いくらくらいが妥当なのか。

 

これには色んな議論がある様だが、購買力平価で考えるという方法がある。

 

購買力平価というのは、簡単に言うと、同じモノを買うときに必要なお金で、貨幣価値を比較すると言うものだ。

 

購買力平価の話の時に、例として出されるのが、ビッグマックの価格だ。

 

ビッグマックというのは、マクドナルドのハンバーガーだが、世界中で同じ物を売っているので、ビッグマック一個の値段を比較すれば、貨幣価値や物価水準を比べることができる。

 

たとえば日本ではビッグマック一個370円で売られていて、アメリカでは同じ商品が4.93ドルで売られているとする。

 

このとき、370円÷4.93ドル=75だから、1ドル=75円というのが、購買力平価による為替レートと言うことになる。

 

もちろん、世界中の人が毎日、ビッグマックばかり食べてるわけではないから、単純にビッグマックだけで決められない。

 

なので標準的な家族が1年間に買う生活必需品のモノやサービスの費用で、購買力平価(PPP:purchasing power parity)を算出する。

 

こうやって算出した購買力平価を、消費者物価PPPという。

 

消費者物価PPPで計算すると、2016年時点のドル円の為替レートは、1ドル約129円くらいになる。

 


3種類の購買力平価と、実勢為替レート

消費者物価PPPで比較すると、2016年時点の為替レートは1ドル129円くらいになっている。

 

これは10年前からあまり変わっていない。

 

というのも日本はここしばらくデフレだし、米国もインフレ率が1%前後だから、少しずつ円高にはなっているが、本当に微々たる変化しかないのだ。

 

一方、貿易で使われる為替レートは、ずっと消費者物価PPPによる為替レートとは、かなりの開き・乖離(かいり)があって、しかも消費者物価PPPと全く交わらない。

 

消費者物価PPPが1ドル129円なのに、実勢為替レートはずっと、1ドル80円から、1ドル120円くらいの範囲で動いている。

 

つまり消費者物価PPPでは、貿易に使われる為替レートが説明出来ない。

 

そこで別の購買力平価によるレートが登場する。

 

それが企業物価PPPと、貿易物価PPPだ。

 

この3つの購買力平価と、実勢為替レートの推移を、グラフにしてみると、妥当な為替レートが見えてくる。

 

3つの購買力平価と実勢為替レートの比較
※グラフをクリックすると、大きな画像が表示されます。

 

(元データは(財)国際通貨研究所がホームページより)上のグラフの青い折れ線は企業物価PPPで、日銀が算出している企業物価指数(CGPI:Corporate Goods Price Index)に基づいて計算された購買力平価だ。

 

企業が生産に使う原材料やエネルギーなどの、調達コスト(国内価格)で算出したPPPだ。

 

日本は食糧や鉄鉱石などの原材料、石油や天然ガスなどのエネルギーを、ドル建てでたくさん輸入しているので、これが実勢為替レートに一番近い。

 

というか実勢為替レートで買ってるわけだから、一番近いのは当然すぎるほど当然だ。

 

一番下の茶色い折れ線が輸出物価PPPだ。

 

輸出物価とは、日本から輸出される商品の価格の指数だが、これを輸出先の物価と比べて算出するのが輸出物価PPPらしい。

 

輸出物価は、当然ながら実勢為替レートより下になる。

 

というのも、輸出の時は卸値で計算するし、輸出先の価格と比べて安くないと売れないからね。

 

こうして上のグラフを見てみると、実勢為替レートは、三つのPPPの間で動いており、特に金融政策が変動しなければ、真ん中の企業物価PPPに収束しそうだ。

 

となると為替レートは、1ドル99円くらいが妥当だと言うことだね。

 


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